サイバーテロなんて起きやしないだろう、だなんて思っていたが。調べてみるとあながち現実味もなくはない。
エストニアとロシア、中国とチベット、韓国と日本の間で国民感情を背景とした対立がネット上で展開されている。
ツールを使えばいとも簡単に一般市民がテロに参加できる。そしてテロに参加しながらも自分の命を危険に晒す必要はこれっぽっちもない。
一方で人間の生活でのシステムの重要性は高まっている。サイバーテロによって起こりうる被害が強まっている。アメリカではサイバーテロによって停電が起きている。
テロなんて警察に任せておけばよい、という発想では、いざテロが起きた時に手遅れになってしまう。社会的影響力のあるシステムの提供者はサイバーテロに対する防御・防止の対策を行わなければならない。しかし、最近JUASによって出された調査によると、BCP(事業継続性計画)の最優先考慮事項にサイバーテロを挙げた日本の企業はたった6%だったというのだ。
エストニアのサイバーテロを受けて、NATOはサイバーテロ防衛センターという国際的テロ対策団体を設立している。国際的な取り組みも大切で結構だが、日本に限って言うと、まずは各企業がサイバーテロのリスクについてより認識することから始めるべきなのかもしれない。
以下、サイバーテロについての参考資料。
竹島切手の発行問題をきっかけとする2ちゃんねるサイバー攻撃(2004/2)この頃は、攻撃といっても、WebでF5を連射する、という単純なものだった。
カカクコムサイバーダウン(2005/5)電子メールアドレス22,511件、10日間ウェブを閉鎖。
犯人は中国人留学生一人。カカクコム以外にも14社、52万件の被害に。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0507/06/news023.html
この頃まではまだ攻撃方法はシンプルだった。が、その後、ボットの感染が広がった。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20041215/153889/
感染を広げることよりも,感染パソコンに被害を与えること,あるいは感染パソコンを悪用することを主目的とした悪質なプログラム(malware,注2)が,2004年に入って多数出現し始めた。「ボット(bot)」である。
http://journal.mycom.co.jp/news/2002/11/19/12.html
2005年上半期の約14万台。最新の調査結果である2007年上半期は約3万2000台で,前期の約3万6000台とほぼ横ばい。全世界の感染台数は減少傾向にあるが,ボットネットの数は増えている。2007年上半期に観測したボットネットは約600個。前期比で約26%増加した。
http://japan.cnet.com/news/sec/story/0,2000056024,20321827,00.htm
実際McAfeeの調査によると、PCなどを遠隔操作できる攻撃用プログラムのボットは、マルウェア全体の中で2004年は3%しか占めていなかったが、2006年には22%と全体のほぼ4分の1を占めるようになった。
エストニアサイバーテロ(2007/5)2週間以上に渡って政府や銀行などのサーバーが攻撃を受ける。
エストニア政府が第二次世界大戦を戦った旧ソ連兵の銅像を首都タリンの公園から郊外の墓地に移したことから、ロシア系住民による暴動となり、ロシアも強く反発して議会がエストニアとの断行を決議するなど、ロシアとエストニアの関係は急速に悪化。ネット上にはロシア語でDoS攻撃(サービス不能攻撃)をエストニアのサイトに仕掛ける方法が掲載され、直後からエストニアの大統領、首相、議会、政府各省のホームページへの不当アクセスが集中して閉鎖を余儀なくされた。
ちなみに、エストニアは欧州で最もインターネット経済が進んでいる国だ。
エストニアのサーバーテロを受け、エストニアにNATOがサイバーテロ防衛センター設立(2008/4)
http://www.afpbb.com/article/politics/2373984/2801624
アメリカではサイバーテロによって複数都市で停電に(2008/1)米国外の複数地域で、電力などの公益インフラが不正侵入され、脅迫を受ける事件が発生した。
チベット亡命政府へのサイバー攻撃(2008/4)
インド北部ダラムサラ(Dharamshala)を拠点とするチベット(Tibet)亡命政府の公式ウェブサイトに11日、ハッカーが侵入し、アクセスができない状態に。
最近また2ちゃんがサイバーテロを受けた。
J-CASTニュース 「2ちゃん」サーバーがダウン サイバーテロ説が広がる
J-CASTニュース 「2ちゃんねる」サーバー停止 韓国からの「サイバーテロ」だったサーバーを管理する「BIG-server」はJ-CASTニュースの取材に対し、韓国国内の4000以上のIPアドレスからDDoS(分散サービス妨害)攻撃が行われたことを4月17日に明らかにした。
サイバーテロは生命をも及ぼしかねない。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20080409/298572/例えば,航空システムや輸送システムがハッキングなどの攻撃を受けた場合には,交通機関がマヒしたり,大事故が発生したりする恐れがある。(米国土安全保障省マイケル・チャートフ長官)
既にテロリストたちの活動は活発化しているようだ。
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20080324/296875/?ST=security
「『過去2年間,実際にハッカーは,SCADA(Supervisory Control And Data Acquisition)システムを稼働させている複数の電力会社への侵入と恐喝を複数成功させている』とSANSインスティチュートのディレクタであるAlan Paller氏は述べる。SANSはハッキングの被害を受けた会社向けに危機対策センターを運営している組織だ。同氏は『何億ドルもの金が脅し取られており,実際の被害額はもっと多いだろう。会社は支払いを隠密に済ませてしまうため,正確に把握することは困難だ』とした上で,『この手の恐喝はネット犯罪の世界では言わずと知れた話だ』と語っている」
日本の企業や政府のサイバーテロ対策に目を向けてみよう。
http://www.juas.or.jp/project/survey/it08/index.html
JUAS 第14回企業IIT動向調査2008によるとBCP(事業継続性計画)で想定リスクの1,2位にテロをあげているのは2%だけ。(地震・風水害・疾病等の自然災害リスク71%、システム障害63%)
警察におけるサイバーテロ対策のひとつが「サイバーフォース」だそうだ。
http://www.cyberpolice.go.jp/cyberforce/index.html
http://journal.mycom.co.jp/news/2002/11/19/12.html
警察庁の情報通信技術者から選抜された60人が、東京都内の民間ビルにある「サイバーフォースセンター」など全国57カ所の拠点から、警察ネットワークへのハッキング行為を24時間体制で監視。また、情報通信や銀行・証券取引所など金融関係、鉄道・航空、電力・ガスといった、社会の重要インフラについても防護対象としている。
サミットに向けてサイバーテロ対策の訓練が為されたという報道はあった。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/summit/87920.html
電力やガス、銀行、鉄道などの三十事業者と道警職員約百十人が参加。企業のコンピューターに不正アクセスがあり、電力やガスなどが夜間に全面停止したとの想定で行った。
道警職員らがモニターを使い、非常時の対応の流れを解説。緊急警報を受けて道警や保守業者に通報し、道警にシステムへのアクセス履歴を提出するまでの手順を確認した。